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-よみもの-

「あなたのおいしい記憶」エッセー、作文コンテスト2017 エッセー部門優秀賞

娘からのプレゼント

小学校の夏休み期間は、私にとって修行の期間。気合の40日間です。小学校4年生の娘は学童保育に通っているので、毎日お弁当が必要なのです。
真夏のお弁当。腐らないように気を使い、
保冷済を多めにバックにセット。おかずはワンパターンにならないように彩り良く・・・蓋を開けたらテンション上がるといいな・・・夏休みなのに毎日のんびりできなくてごめんね・・・等々、色々な思いを込めて作ります。夏の間、お弁当メニューで私の頭はいっぱいになっています。
そんな私も、お弁当生活を28年続けています。母の手作り弁当から始まり、ピンチヒッターの父や祖母の手作り弁当、結婚する前に主人が作ってくれた、「喧嘩してごめんね」弁当など、心に残る思い出が沢山あります。朝早く出勤しなければならない日も、必ずお弁当を作ってくれたお母さん。当たり前だと思っていたけれど、きっと今の私のように、頭の中はお弁当作りでいっぱいになっていたんだろうな、と思います。お母さん、ありがとう。
娘は下校途中に、学習塾、習字教室に通っています。夏休み期間も学童保育から教室に通っています。学習塾は4時から、習字は3時からとそれぞれ時間も曜日も違います。心配性の私は、夏休みのお弁当に毎日メッセージカードを入れています。「沢山食べてね!今日習字だよ~!2時50分に出発ね!」と半分は連絡事項です。そんなメッセージでも、娘は楽しみにしているようで、「今日もお手紙ありがとう!」とニコニコ喜んでくれます。
夏休みも終わったある日、私は寝坊をしました。忙しく自分のお弁当を作り、蓋を開けて冷ましている間に朝の準備をしていると、娘が「お弁当包んでおいたよ!」とお弁当バックにまでセットをしてくれていました。本当に助かり「ありがとう!」と伝えると、「お母さん忙しそうだったからやっておいたよ!」と返ってきました。いつの間にか、色々な事ができるようになったんだな~としみじみ、娘の成長を感じられる嬉しい朝でした。しかし、嬉しいサプライズはお昼にも続くのです。バックを空けると、保冷済も入っています。ハンカチを広げると「お仕事がんばれ!ファイトママ」とメッセージカードが入っていました。寝坊して慌てて作ったお弁当、娘の気遣いでとびきりおいしいお弁当に早変わりです!この嬉しさを味わいたくて、作った後わざと包まないでおき、娘がメッセージ付きでセットをしてくれ、ワクワクしながらお昼にお弁当を広げる、という生活を主人と一緒に1ヶ月も続けて楽しみ、夏休みの娘の気持ちを味わいました。忙しそうにハンカチで包んで・・・という娘の姿を見ていると、小さいけれど立派なお母さんでした。
毎年辛かった夏の修行期間。娘の成長を感じられ、辛さは一気に吹き飛びました。今夏も娘のお弁当記憶作りに全力で励みます!!

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「あなたのおいしい記憶」エッセー、作文コンテスト2017 エッセー部門優秀賞
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